わたしは平日の昼に、二輌編成の急行に乗っていました。
この路線は昼間は乗客が少なくなるため、編成が二輌になるのです。
スマホからふと、顔を上げると、お爺さんが大きな口を開けて寝ているのに気づきました。
それを、3人の子供たちがキャッキャッと面白がって、顔をのぞき込んだり、なでたりしてイタズラしています。
- こんな平日の昼間に子供がいるんだなあ -
と変に思いながらも、見かねたわたしは、
「コラッ!」
と怒鳴りました。
子供たちは「あははは」と笑いながら、隣の車輛へ走って逃げて行きました。
しばらくすると女性がお爺さんの顔をのぞき込んだり、手に触れたりしていました。
その女性はそこを離れたかと思うと、すぐに車掌を連れて戻ってきました。
まもなく車内に、
「この列車は、次の駅で緊急停車いたします」
とアナウンスが流れました。
お爺さんが急死していたとのことでした。
隣の車輛に目をやると、さっきの走って逃げて行った子供たちはどこにもいませんでした。
文章:百百太郎
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