サスペンス・ホラー

怖い話『仏間の少女』

 

今日は誰もいないというので、友人の実家に遊びに行った時のことです。

 

友人の部屋へ案内されていく途中、仏間がありました。

中を覗くと、仏壇に向って女の子が座っていました。

わたしは友人の妹さんだと思い、軽く会釈しました。

 

するとその子は、仏壇を指差し

「お母さん」

と言いました。

友人は何年も前に、母親を亡くしていたのでした。

 

わたしは、誰もいないはずでは?などと思いながら、立ち止まって見ていると、

「おい、早く来いよ」

と友人の声がしました。

わたしは友人に促されて、そこを後にしました。

 

友人の部屋に入ると、わたしは手土産に持ってきたケーキを渡しながら、

「おまえとふたりで食べるつもりだったから、ふたつしか買ってこなかった。俺の分はいいから、妹さんにあげたって

 

すると、友人は

「おれに妹はいないぞ?」

 

さっき仏間にいた女の子のことを話すと、

友人が生まれる前に、彼の母親は一度死産していることを話してくれた。

 

- ああ、妹さんじゃなく、お姉さんだったのか -

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『夜中の路線バス』
  2. 怖い話『農道のトイレ』
  3. 『年の瀬の墓参り』
  4. 怖い話『真夏のサンタクロース』
  5. 怖い話『もうちょっとだったのに』
  6. ディストピア『見果てぬ、地平』
  7. 怖い話『とめたらアカン』
  8. 怖い話『拝まれた』

おすすめ記事

『一日一日』

今が楽しいと思う。だから頑張れる。一日一日を…

エッセイ:『不思議な事』

世の中には不思議なことが、多くあります。生命に関する…

障碍者は見えないところでお世話になり、見える形で被害を被る

 障碍者は程度の差はあれど、目に見える形でミスをする。そのことによって健常者の仕事を…

障碍者の法定雇用率は引き上げられるかもしれない

 民間企業における障碍者の法定雇用率は、2021の1月より引き上げられる可能性が浮上…

将棋の編入試験の制度が一部変更

 将棋の編入試験の制度が一部変更されました。今回はそれを取り上げていきます。&n…

新着記事

PAGE TOP