サスペンス・ホラー

怖い話『丸められた紙』

 

大きな集合団地に住む友人の話。

 

その団地に引っ越して間もない頃。

建物内に入ろうとすると、上から何かが落ちてきました。

それは紙を丸めたものでした。

見上げると、ベランダから子供がこちらを見下ろして、笑っていました。

 

― イタズラする子供がいるのか、危ないなあ ―

 

それからまた数日経ったある日。

また上から丸めた紙が落ちてきました。

見上げると、この前と同じ子供が、こちらを覗きこんで笑っていました。

 

― これは一度注意してもらわないと・・・、6階だな ―

 

友人は子供がいる階を確認して、管理人室に向いました。

 

管理人を連れて、イタズラっ子がいる部屋の前に来ると、「え?ここですか?」と管理人が驚いて言いました。

 

「この部屋は誰も住んでいませんよ」

 

数年前に一家心中があって、それ以来ずっと部屋を貸し出していないと言う。

 

確認のため、鍵を空けて部屋の中を見せてもらいました。

部屋のところどころに魔除けの御札が貼られていました。

 

「いわくつきって事もあって、何箇所かに御札を貼ってあるんです」

と言う管理人。

 

見ると、引きちぎられた御札や、剥がされた跡もあります。

友人はハッとして、手に持っていた丸められた紙を、恐る恐る広げました・・・。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

 

関連記事

  1. 怖い話『仏間の少女』
  2. 怖い話『もう少し先へ』
  3. 怖い話『もう一人の住人』
  4. 怖い話:『目撃者によって違う霊』
  5. 怖い話『窓の外から笑うもの』
  6. 怖い話『カーテンの裏の子』
  7. 怖い話『廃墟ビルの鉄扉』
  8. 怖い話『塀の裏側に見たもの』

おすすめ記事

医療関係者は国家試験に合格する前提で採用されている

 医師の国家試験は、大学を卒業する年(最高学年)の2月(昔は大学卒業後だったが制度変…

コロナウイルスが世界に広がりつつある

 中国武漢で感染が発見された、コロナウイルスが世界に広がりつつある。日本、タイ、韓国…

リンダ ポルマン『クライシス・キャラバン―紛争地における人道援助の真実』東洋経済新報社

リンダ ポルマン『クライシス・キャラバン―紛争地における人道援助の真実』&nbs…

自分のやり方を模索してみよう【障碍者編】

 広汎性発達障碍者の仕事が長続きしないのは、一般人の方法を真似するのは難しいから。障…

テニスの全米オープンで途中棄権したジョコビッチ選手を擁護する

9月1日に男子シングルス4回戦が行われました。2連覇と4度目の優勝を狙っていたノバク…

新着記事

PAGE TOP