サスペンス・ホラー

怖い話『バタバタバタ』

 

小学校の時の放課後の話。

 

小学校の裏の塀を乗り越えると目の前という場所に、廃工場がありました。天井まで10m近くはあろうか大きなドーム型のトタン屋根の建物です。

廃工場と言っても当時は駐車場として使われていました。

平日の昼間は車もなくガラーンとしていました。

 

わたしたちはここでよく雨宿りしていました。放課後の校庭でソフトボールしている時に雨が降ると、いつもここでキャッチボールや軽いノックをするのです。

 

その時もわたしたちは雨に降られ、そこへ避難していました。

バタバタバタ

雨がトタンを激しく叩く音がします。

 

20分ぐらい経った頃でしょうか。

突然ひとりが外に飛び出し、手を広げて言いました。

「おーい、雨、やんでるぞー」

見ると明るい光もさしています。

 

でもバタバタバタと激しく音が鳴っています。

わたしたちはみな天井を見上げました。

 

何人もの子供のような影が走り回っているのが、トタンを透けて見えました。

わたしたちはただ呆然とそれを見上げていました。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『壁の黒いしみ』
  2. 怖い話『笑う警察官』
  3. 怖い話『終着駅』
  4. 怖い話『ガラス越しのポスター』
  5. 怖い話『ごめんなさい』
  6. 怖い話『雪の朝』
  7. 怖い話『見ていたのは同じ人?』
  8. 怖い話『もうちょっとだったのに』

おすすめ記事

怖い話『死体現場ごっこ』

赤提灯のお店へ、大学の仲間と飲みに出かけたときのこと。お店を出る…

障碍者手帳は社会で躓いた障碍者が取得している

 障碍者と診断された人間全てが障碍者手帳を取得しているわけではありません。障碍を抱え…

バンドの方じゃなくて本家の方

出典:© いらすとや. All Rights Reserved.特撮と言ったら着ぐるみだろう…

障碍者手帳の基準が全国で統一されていないことに違和感がある

 兵庫県(神戸市を除く)と北海道では発達障碍であった場合、IQの如何にかかわらず療育…

荻原魚雷『本と怠け者』ちくま文庫 のご紹介

荻原魚雷『本と怠け者』の紹介著者情報著者の荻…

新着記事

PAGE TOP