サスペンス・ホラー

怖い話『待っている人』

 

「遅い!」

 

朝の4時過ぎに、ある一軒の家に新聞配達に行くと、頭上から女性の声がしました。

見上げると二階の窓ガラスに、人影がありました。

 

わたしは、

 

「スイマセン」

 

と言いながら、ドアポストに新聞を入れ、

 

- こんな早い時間に遅いとか、文句言われてもなぁ -

 

などと思いながら、その場を離れました。

 

翌朝も同じ時間に配達に行くと、「遅い!」と怒鳴られました。

やはり二階の窓に人影が浮かんでいます。

 

- ずいぶん早起きな人なんだなぁ -

 

ドアポストに新聞を入れようとすると、すでに新聞が入っていました。

よく見ると、それは昨日の新聞でした。

 

変に思いながらも、わたしはその日の新聞を押し込んで、その場を離れました。

 

そんな日が何日か続きました。

新聞はいつも取り込まれていません。

 

ある日、販売店の店主から、そのお宅へは配達しなくていいと言われました。

そのお宅の一人暮らしの女性は、首を吊ったまま亡くなっていたそうです。

 

- 毎朝、新聞じゃなく、発見されるのを待っていたのか・・・ -

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『煎餅缶事件』
  2. 怖い話『知らん子』
  3. 怖い話『深夜のコンビニバイト』
  4. 怖い話『プールの更衣室での出来事』
  5. 怖い話『こっちだよ』
  6. 怖い話『地響きのする家』
  7. 怖い話『何かいた』
  8. 怖い話『階段からくる子』

おすすめ記事

JR西日本は有料座席のAシートを増便

出典:Photo credit: weichen_kh on Visualhunt2023年3月…

企業は障害者雇用を本当はしたくない

 企業は障害者雇用を本当はしたくないのです。障碍者雇用率が政府の規定を超えないと、政…

【サッカー】日本代表、ワールドカップ出場決定!!

2022カタールワールドカップ・アジア最終予選で、日本代表がオーストラリア代表を破り…

怖い話『窓の外から笑うもの』

わたしが小学生の時の、ある夏休みの昼下がりのことです。親に言いつ…

多様性という「お題目」

例の婚活については、親が反対したため、始まる前から終わりました(挨拶)。と、いうわけで、フジ…

新着記事

PAGE TOP