サスペンス・ホラー

怖い話『ドアの前で待つ女』

 

わたしは電車のドアの前で、スマホをいじりながら立っていました。

駅に停車し、ドアの向こう側に女の人が立っているのが見えたので、脇によりました。

しかし、ドアが開いても女の人は乗り込もうとはしません。

肩にかけた赤いショールが印象的です。

 

  • 急行を待ってるのかな? -

 

間もなくドアが閉まり、電車は走り出しました。

 

次の駅に停まりドアが開くと、またそこに女の人が立っていました。

その人も赤いショールをかけていました。

それはさっきと同じ人のように思えました。

脇によって道をあけましたが、その人も乗り込まず、そのまま電車は走り出しました。

 

まさかと思いながら、次の駅の到着を待っていると、やはり赤いショールの女の人が立っていました。

ドアが開いても乗り込もうとはしません。

思わず女の人と目が合いました。

その時、女の人は微笑を浮かべて言いました。

 

「さっきから、あなたが降りてくるのを待ってるんですけど・・・」

 

その次の駅では反対側のドアが開きました。

わたしは迷わず電車から降りました。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『キュクロプスの夜』
  2. 怖い話『茂みの中から』
  3. 怖い話『お前は死んでるのか?!』
  4. 怖い話『公園のベンチで寝ていると』
  5. 怖い話『届かないボタン』
  6. 怖い話『取りに来て』
  7. 怖い話『だるまさんがころんだ?』
  8. 怖い話『降ります!』

おすすめ記事

ディストピア『見果てぬ、地平』

首都にやって来て、初めて街の荒廃ぶりを目の当たりにした。噂では聞いていたが、…

詩『雑草のように生きよう』

 雑草は何回抜いても生えてくる 雑草は根っこから抜いても生えてく…

病気を侮るな

私には、いろいろと病がありますが、必要以上に不安になってしまう事や、また、侮るこ…

非定型抗精神病薬

『お薬ちゃん〈ジプレキサ〉』http://w…

コロナウイルスは障碍者の就職活動に影響を及ぼしている

 コロナウイルスによって、障碍者の合同面接会は中止となっているようです。(どの時期ま…

新着記事

PAGE TOP