サスペンス・ホラー

怖い話『降ります!』

 

買い物帰りの夕時のバスでのこと。

わたしは帰宅の人で混雑するバスの中で、座席で本を読んでいました。

 

本を読んでいるうちにいつの間にやら眠ってしまったようで、気付けば、乗客はわたしだけになっていました。

 

  • 今どのへん走っているのだろう? -

 

窓の外を見ると、辺りはすっかり暗くなっていて、どこを走っているのかわかりません。

ひどく眠いこともあって、このまま終点まで行ってしまっても構わないやと、再び寝入ろうとしたときです。

 

「降ります!」

 

と突然、車内に女性の甲高い声が響きました。

 

驚いて車内を見渡しますが、やはり乗客はわたし以外いません。

間もなくバスは停留所に停まりました。

なんだか気味が悪くなったわたしは、慌ててその停留所で降りました。

 

運転手もさっきの女性の声とわたしに違和感を感じたのでしょう、バスを降りる際に不安そうな目でわたしを見てきました。

 

そしてわたしは、降りるべき停留所に、降り立っていました。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

 

関連記事

  1. 怖い話『消えたラーメン屋のおばさん』
  2. 怖い話『心霊的な何か』
  3. 怖い話『守る人』
  4. 怖い話『断崖の遺物』
  5. 怖い話『わたしも食べたい』
  6. 怖い話『釣り人』
  7. 怖い話『お迎えにあがりました』
  8. 怖い話『誰の頭?』

おすすめ記事

麻薬の再犯で歌手が逮捕された

  覚醒剤を所持したとして、大物歌手が逮捕された。 彼は過去にも麻薬の所持で逮捕…

『大切な存在』

壁にぶち当たった時…何度落ち込んだだろう…数…

薬の服薬、サプリメントの摂取はなるべく避けよう(実話含む)

 薬やサプリメントから離れる生活をしたほうがよいと思う。服薬するにしてもなるべく効果…

誰もが辿るプロセス

 幼稚園、小学生、中学生のときは誰しもが成長を実感する。ほっといても身長が伸びるし、…

リセマラ【する派?】【しない派?】

大半の人がスマホを持っている世の中なので…ゲームをスマホでするという人も多いと思いま…

新着記事

PAGE TOP