サスペンス・ホラー

怖い話『お母さんがいない』

 

冬の豪雪地帯での話。

警察官がパトロールしていると、とある一件の家の前で、ひとりの中年女性が助けを求めてきました。

 

「お母さんがいないんです」

 

聞けば、高齢の母親と二人暮らしなのだが、二日前からその母親が行方不明だと言う。

母親の履物は玄関に揃っていました。

そこは女性二人で暮らすには、かなり広い旧家のお屋敷です。

 

- 家の中のどこかで倒れているんじゃないか? -

 

警察官はすぐに応援を伴って、そのお宅に捜査に入りました。

トイレやお風呂と、くまなく家の中を探します。

 

家の中のどこからも発見できません。

警察官が裏の雨戸を開けると、庭の木に首吊り死体がぶら下がっていました。

それはさっき助けを求めてきた中年女性でした。

 

  • 錯乱して自殺した? -

 

その死体の頭や肩に、雪が積もっていました。

どう見ても、今しがた自殺したとは思えません。

 

検死の結果、中年女性は死後3日経っていました。

 

なお、中年女性の死体の足元の雪だまりの中から、探していた母親が遺体となって見つかったそうです。

 

文章:百百太郎

 

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