サスペンス・ホラー

怖い話『看板人形』

 

買い物に行く途中、看板屋があります。

その看板屋の前に、見慣れない男の子が立っていました。

白い顔をして口元の近くにパンのようなものを持って、全く微動だにしません。

 

  • パン屋の看板人形かな? -

 

その前を通る際に、

 

「よくできた人形だな」

 

などと思いながら、身をかがめて顔を覗き込みました。

目玉が動いてこちらをギロッと見ました。

 

  • あ、人だった! -

 

わたしはそそくさと、その場を離れました。

 

しかし、しばらく進んだところで、わたしは忘れ物に気づきました。

今来た道を引き返し、再びさっきの看板屋の前を通ります。

 

すると、看板屋の中から何やら声が聞こえてきました。

 

「ここにあったパンどこいった?おまえ、食べた?」

 

「知らないよ、ネズミが持って行ったんじゃないの?」

 

それは看板屋の夫婦の会話でした。

 

見ると、さっきの男の子が手に持っていたパンが消えていました。

それはすっかり目も動かない、ただの看板人形になっていました。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話:『13階』
  2. 怖い話『届かないボタン』
  3. 怖い話:『TVゲームをしていたのは?』
  4. 怖い話『そこにあるもの』
  5. 怖い話『戻ってきたのは誰?』
  6. 怖い話『二階の子供』
  7. 怖い話『仮眠室での出来事』
  8. 怖い話『バタバタバタ』

おすすめ記事

神戸の地下商店街『メトロ神戸』紹介

 メトロ神戸は、神戸高速鉄道の「神戸高速線」の『高速神戸駅』と『新開地駅』の上にある…

今年は旅行、ライブ、スポーツ観戦などが難しいかも

 コロナウイルスの拡大を受けて、海外への旅行は難しくなった。飛行機内に感染者が一人で…

阪神の佐藤選手の三振数を当てる問題が出題された

 阪神の佐藤選手が4月1日の広島戦で、どれだけの三振をするのかという問題をツイッター…

怖い話『二階の子供』

『二階の子供』 ― よく考えると怖い話 ―一軒家の中古物件を購入…

「マジカル頭脳パワー」という番組を覚えていますか

 1990年~1999年に日本テレビで放送された、「マジカル頭脳パワー」という番組を…

新着記事

PAGE TOP