サスペンス・ホラー

怖い話『電車内のいたずらっ子』

 

わたしは平日の昼に、二輌編成の急行に乗っていました。

この路線は昼間は乗客が少なくなるため、編成が二輌になるのです。

 

スマホからふと、顔を上げると、お爺さんが大きな口を開けて寝ているのに気づきました。

それを、3人の子供たちがキャッキャッと面白がって、顔をのぞき込んだり、なでたりしてイタズラしています。

 

  • こんな平日の昼間に子供がいるんだなあ -

 

と変に思いながらも、見かねたわたしは、

 

「コラッ!」

 

と怒鳴りました。

子供たちは「あははは」と笑いながら、隣の車輛へ走って逃げて行きました。

 

しばらくすると女性がお爺さんの顔をのぞき込んだり、手に触れたりしていました。

その女性はそこを離れたかと思うと、すぐに車掌を連れて戻ってきました。

 

まもなく車内に、

 

「この列車は、次の駅で緊急停車いたします」

 

とアナウンスが流れました。

お爺さんが急死していたとのことでした。

 

隣の車輛に目をやると、さっきの走って逃げて行った子供たちはどこにもいませんでした。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

 

関連記事

  1. 怖い話『散らかすな!』
  2. ホラー:「光の消えたお化け屋敷」
  3. 怖い話『押し入れにいたもの』
  4. 怖い話:『どう思う?』
  5. 怖い話『電話が鳴った』
  6. 怖い話『廃墟ビルの鉄扉』
  7. 怖い話『そうですって言っていたら・・・?』
  8. 怖い話『ねえ・・・暗い・・・』

おすすめ記事

『背伸びをしたくなる?』 ―少し周囲より背伸びがしたくなるー

周りより少し…背伸びをしたくなる。そんな自分…

『絆創膏を貼ろう』―必ず治るって信じたい―

あなたの傷ついた心に…絆創膏を貼ろう。怪我を…

障碍の「し」の字すらわからないサービス管理責任者の作成する支援計画書は意味を持つのか

  障碍について何もわかっていない、サービス管理責任者によって支援計画を立てられる。…

『この想い君に伝えられたなら』

君の綺麗な瞳に僕のこころは奪われたこんなつら…

私が好きな動物「セキセイインコとオカメインコ」①

皆様初めまして!桐谷 凛花(きりたに りんか)と申します。今回から記事を書き…

新着記事

PAGE TOP