サスペンス・ホラー

怖い話『消えたラーメン屋のおばさん』

 

行きつけのラーメン屋へ、ひと月ぶりに行ったときのこと。

カランカランとドアベルを鳴らしてお店に入ると、ドアのそばでお店のおばさんが、

 

「いらっしゃいませ」

 

と言いながら、お辞儀をしました。

 

いつもの席に座って、いつものラーメンを注文しようとおばさんのほうへ振り返ると、いままでドアの横にいたはずのその姿が見当たりません。

 

‐ どこ行ったのかな?ドアベルの音がしなかったから、外には出ていないはず ‐

 

などと思いながらキョロキョロ見渡していると、カウンターの奥からおじさんが出てきました。

わたしがいつも読んでいるスポーツ紙とお水をさし出しながら、

 

「どしたの?」

 

と、おじさんが聞いてきました。

 

「おばさんに注文しようとしたんだけど、どっか行っちゃった」

 

と言うわたしにおじさんが言いました。

 

「おばさんは一週間前にあっちの世界に行っちゃった、病気でね、「最近○○くん、来ないねえ」って心配してたよ」

 

文章:百百太郎

 

関連記事

 

 

関連記事

  1. 怖い話『塀の裏側に見たもの』
  2. 怖い話『濡れた足あと』
  3. 怖い話『バタバタバタ』
  4. 怖い話『プールの更衣室での出来事』
  5. 怖い話『石を投げたら』
  6. 怖い話『ごめんなさい』
  7. 怖い話:『目撃者によって違う霊』
  8. 怖い話『家の中のかくれんぼ』

おすすめ記事

怖い話:『蹴りたいドア』

夜11時少し前。オフィスは暗くしんとしていて、私は明日のプレゼンのパワポ資料を作…

『才能』

どんなに頑張っても…どんなに努力しても…才能…

障碍をプラス、マイナスに取りやすいパターン

 私の人生の中で、障碍者を受け入れてもらいやすいタイプをあげていきます。&nbs…

タッチパネルの注文だけで回転寿司を食べた感想

  コロナウイルスの影響を受けて、回転寿司がタッチパネルによる注文に切り替えているよ…

奇祭『蛙おどり』が伝承される:小野原住吉神社(蛙の宮)の紹介

 「蛙おどり」とは、兵庫県丹波篠山市 今田町上小野原30にある小野原住吉神社で古くか…

新着記事

PAGE TOP