サスペンス・ホラー

怖い話『押し入れにいたもの』

 

大学卒業で先輩が下宿アパートを引き払うので、部屋の片づけを手伝っていた時のこと。

わたしは押し入れの中の物を運び出していました。

手前に積まれてあった衣装ケースを出し、再び押し入れに頭を突っ込むと、

 

「うおっ!?」

 

っと驚きの声を上げてしまいました。

 

「どした?」

 

後ろから先輩が覗き込んで、

 

「なんだ鏡じゃないか、自分の姿に驚いてるんじゃねえよ」

 

と笑いました。

 

それは女性の部屋にあるような大きめの鏡で、先輩には似つかわしくないものでした。

 

「こんな大きな鏡持ってたんですか?」

 

「前の住人が置いていったものだったのかな?今まで気づかなかったな、これも持って行っちゃおう」

 

先輩は鏡を抱えて、トラックの荷台へ運んでいきました。

 

でも、わたしがその時に鏡の中に見て驚いたものは、自分の姿じゃなく、異様に大きな女の顔だったんですけどね。

 

文章:百百太郎

 

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