サスペンス・ホラー

怖い話『駆けてくる男』

 

友人と二人で、買い物に出かけたときのこと。

途中、友人が私用があるというので、とあるビルに立ち寄りました。

用はすぐに終わり、さあ、これから買い物でもしようと、二人でエレベーターに乗り込みました。

 

廊下の向こうから声がしました。

 

「乗りまーす」

 

と、エレベーターに向って凄い勢いで走ってくるスーツ姿の男の人が見えました。

その様子から、かなり急いでいるのは明白でした。

 

しかし、友人は構わず、「閉まる」のボタンを押して、ドアを閉じてしまいました。

 

「どうして?乗せてあげればいいのに・・・」

 

という、わたしに友人は言いました。

 

「さっきの人、あの硬い廊下で、足音ひとつ立てていなかった・・・」

 

文章:百百太郎

 

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