サスペンス・ホラー

怖い話『手遅れ』

 

大学の講義を終えて、サークル棟に入りました。

棟の玄関口のところ、階段の前に自販機が設置されています。

 

わたしはコーラでも飲もうと、紙コップの自販機の前で、財布から小銭を取り出していました。

すると、

 

「あ、ちょっと待って!」

 

と頭の上から声がしました。

見上げると、吹き抜けになった階段からバタバタと人が急いで降りてくる気配がしました。

 

わたしは構わずに、小銭を投入し、コーラのボタンを押しました。

すると、紙コップが出てこないうちに、コーラの液が放出され始めました。

 

わたしは自販機前で慌てますが、どうすることもできません。

コーラが駄々流しとなり、やがて止まりました。

 

‐ あーあ、もったいない ‐

 

わたしは恨めしく思いながら、

 

‐ コップ切れか? ‐

 

と、腰を落として、取り出し口の中を覗き込みます。

すると、ポトッと紙コップが落ちてきました。

 

愕然とするわたしの耳元で、声がしました。

 

「遅かった・・・」

 

わたしは紙コップを手に、キョロキョロと誰もいない玄関口で、その声の主を探していました。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『水浸しの郵便受け』
  2. 怖い話『誰の頭?』
  3. 怖い話『いつから?』
  4. 怖い話『ずぶ濡れの人』
  5. 怖い話『飛んでいるもの』
  6. 怖い話『スリッパ』
  7. 怖い話『ヘッドライト』
  8. 怖い話『隣の人』

おすすめ記事

十両と幕下の入れ替え戦

 大相撲においては、十両と幕下における入れ替え戦を行うことがあります。そのことについ…

欠点を誇りに思う考え方

 日本では欠点を直せ、修正しろという教育をなされる。事実、個性は消され、クローン人間…

上司の90パーセントは部下のやる気を下げる天才

 「上司は部下のモチベーションを下げる(やってほしくないことばかりする)ことしかしな…

『暗黙のルール』

周囲と違う意見を言えば避けられて…周囲と違う行動をすればはぶかれ…

怖い話『体育倉庫の子ら』

小学校の時のこと。休み時間に仲間たちと鬼ごっこをして遊んでいまし…

新着記事

PAGE TOP