サスペンス・ホラー

怖い話『手遅れ』

 

大学の講義を終えて、サークル棟に入りました。

棟の玄関口のところ、階段の前に自販機が設置されています。

 

わたしはコーラでも飲もうと、紙コップの自販機の前で、財布から小銭を取り出していました。

すると、

 

「あ、ちょっと待って!」

 

と頭の上から声がしました。

見上げると、吹き抜けになった階段からバタバタと人が急いで降りてくる気配がしました。

 

わたしは構わずに、小銭を投入し、コーラのボタンを押しました。

すると、紙コップが出てこないうちに、コーラの液が放出され始めました。

 

わたしは自販機前で慌てますが、どうすることもできません。

コーラが駄々流しとなり、やがて止まりました。

 

‐ あーあ、もったいない ‐

 

わたしは恨めしく思いながら、

 

‐ コップ切れか? ‐

 

と、腰を落として、取り出し口の中を覗き込みます。

すると、ポトッと紙コップが落ちてきました。

 

愕然とするわたしの耳元で、声がしました。

 

「遅かった・・・」

 

わたしは紙コップを手に、キョロキョロと誰もいない玄関口で、その声の主を探していました。

 

文章:百百太郎

 

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