サスペンス・ホラー

怖い話『おまえの母ちゃん・・・』

 

小学生の時のこと。

その日の午後は授業参観です。

お昼休みのうちにトイレを済ませておこうと、2階の廊下を歩いていました。

 

ふと、窓の外から校庭を見ると、遊び回る児童に混じって、気の早いお母さんたちの姿もちらほら見えます。

そんな中、クラスメイトたちが、みんなでこちらを見上げているのに気づきました。

 

わたしとすれ違った別のクラスの子に、みんなが口々に叫びます。

 

「ボールとってぇ」

 

どうやら壁当てをしていて、ボールが窓の中に飛び込んでしまったようです。

その子が、廊下に転がっていたボールを拾って、窓から投げ返します。

 

‐ 何で同じクラスの俺に声かけないんだ? ‐

 

午後の授業参観が始まる前に、クラスメイトの一人にそのことについて訊いてみました。

 

「おまえの後ろに付いていく人がいたから」

 

「え、いないよ、そんな人」

 

「いやいや、いたって・・・白い着物着て、長い髪振り乱して、足を引きずりながら物凄い形相で、後ろ付いていく女の人がいたんだけど・・・、あれ、おまえの母ちゃんだろ?」

 

文章:百百太郎

 

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