サスペンス・ホラー

怖い話『案山子』

 

友人とドライブに出かけた時のこと。

当てもなく車を走らせていると、いつの間にやら、民家もない、ただ田畑が延々と続く場所にいました。

 

ふと、左手を見ると、案山子があるのに気づきました。

その案山子は、棒の先に首がちょこんと乗っているだけの、簡単なものでした。

簡単なものと言っても、マネキンの首を使っているので、ちょっと不気味です。

 

「昔の晒し首って、あんな感じだったのかな?」

 

などと友人と話しながら、そこを通り過ぎました。

しばらく走ったところで、

 

「これ以上進んでも何もなさそうだし、引き返すか」

 

車を迂回させて、帰路につきました。

間もなく、さっきの案山子が見えてきました。

案山子を眺めながら、友人は言いました。

 

「さっき、左手にあったのに、なんでまた左手に案山子が見えるんだ?」

 

「ああ、さっきと一本違う道だからな、これは案山子の反対側の道だよ」

 

「そうか・・・。じゃあ、なんで案山子は背中じゃなく、今度もこっちを向いてるんだ?」

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『断崖の遺物』
  2. 怖い話『ドアの前で待つ女』
  3. 怖い話:『13階』
  4. 怖い話:『見える人、見えない人』
  5. 怖い話『廊下に続く足痕』
  6. 怖い話『震える犬』
  7. 怖い話『隣の人』
  8. 怖い話『壁の中から』
PAGE TOP