サスペンス・ホラー

怖い話『おまえだけ』

 

友人とドライブ中に、たまたま見かけた遊園地のオバケ屋敷に入ったときのこと。

 

わたしたちは二人乗りのカートに乗り、屋敷内を移動します。

カートが通りかかると、ライトが点灯して、そこに骸骨やら血まみれの女などが次々と浮かび上がります。

前方からいくつもの生首がぶら下がって、近付いて来ます

 

「おい、生首がくるぞ!」

 

と友人に教えます。

 

生首の中には、位置の低いものや、逆さまになって髪が垂れ下がったものもあります。

わたしは、それを避けたり、触れたりしながら、ウヒャア!などと言っては、はしゃいでいました。

ふと、横を見ると、友人が下を向いたままジッとしていました。

 

- 何だ、こんなのが怖いのか? 

 

オバケ屋敷を出て、気分悪そうにしている友人に、

 

「おい、大丈夫か?」

 

と、わたしは笑いながら言いました。

 

「おまえこそ、大丈夫か?」

 

そう返されて、キョトンとしているわたしに友人は続けました。

 

「生首なんて、どこにもなかったぞ。

俺は、何も無い空間を見て、はしゃいでいるおまえが怖かった。

見えていたのは、おまえだけだ」

 

文章:百百太郎

 

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