コラム

【いきもの】『外来生物』を悪者扱いしないで!

出典:© いらすとや. All Rights Reserved.

そもそも、運んできたのは誰ですか?

子どもの頃からおなじみだった生き物、アメリカザリガニとミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)が2023年6月1日から『条件付特定外来生物』に指定されます。

『条件付特定外来生物』とは環境省のチラシによると、届け出なしに現在飼育している個体は終生責任を持って飼育できるが、販売・購入・川に放出などは罰金の対象になるということです。

途中で飼えなくなった場合は責任を持って譲渡しましょうとも書かれていました。

さて、アメリカザリガニが日本に来た理由ですが、彼らはウシガエルの餌としてアメリカから人間が運んできました。

ミドリガメはどうでしょう?彼らは幼少期の見た目が可愛いのでペットとして人間が日本に運んできました。

昔、夜店に『カメすくい』がありましたが、その時のカメがミドリガメです。

幼少期の小さくて緑で可愛い時はミドリガメと呼ばれ、成長し耳のあたりに赤が出てくるころにミシシッピアカミミガメと呼ばれるようになりますが、同じカメです。

ミシシッピアカミミガメは大きくなりますし、性格が凶暴なため飼いきれなくなり池や川に放出する人が続出、お手軽に入手できるペットの上、捨てる人が多く環境にすぐ適応できるカメだったために、「生態系を崩す!外来生物め!」と悪者扱いされるようになりました。

筆者は声を大にして言いたい、

「そもそも、連れてきたのは誰ですか?人間じゃないんですか?」って。

『外来生物』だって命です

『外来生物』は確かに日本の生き物の生態系を壊します。

TVで池の水を全部抜いて、たくさんの外来生物を網ですくい取り「外来種を一網打尽!」というナレーションとともに、乱暴にバケツに数百の命を投げ捨てる場面を見ました。

外来生物だからって痛めつけるような、残酷な扱いをしていいのですか?

そんな場面をTVに映していいのですか?子どもに見せていいのですか?

これを見た子どもたちはきっと「外来生物は悪者だから痛めつけていいんだ!」と思うだろうし、実際にする子もいると思います。

子どものうちは、小さな命を弄び残酷なことをしてしまう時期があります。

その時期を通り、子どもは「かわいそうなことをした」と反省し倫理観のある大人に成長していくのです。

今、虫を触れる子どもが減りました。

実際の『命』に触れられず、『命』を学べていない子が、TVで大人が堂々と行っている『外来生物イジメ』を見てどう思うでしょう?

実際、外来生物は日本の生態系を崩します。

ですが、彼らも『命』です。

しかも、ほとんどの外来生物たちは人間に故意に持ち込まれたか、人間が持ち込んだ荷物に偶然ついていたのです。

彼らは彼らの意志で日本に来たわけではありません。

人間はそのことを棚にあげ、外来生物を厄介者扱いします。

ほかのTV番組ですが外来生物を食材として美味しい料理を作ろうという企画がありました。

命に感謝して、美味しくいただくというコンセプトは良いと思うのですが、その企画のタイトルが『グリル厄介』って・・・

もう少し良いタイトル名なかったですかね?

わかっています、在来生物の存在が脅かされていることも農業や林業などの方が大きな被害を受けていることも

ですが、悪いのは『外来生物を連れてきた人間』だと筆者は思うのです。

まとめ

筆者はとてつもなく生き物が好きです。

大人になった今も、昆虫仲間に誘われれば昆虫採集に行きます。

一時期、流行りで買ったと思われるクワガタの放虫が目立ちました。

何故これが放虫とわかるか?なんですが、放虫する人はマナーの悪さも一流で、ご丁寧に「もし良かったら、誰か持って帰ってください」的な感じで飼育ケースも一緒に捨てているのです。

放虫は生態系を壊す問題もありますが、交雑の問題もあります。

すでに見た目では判断できず、遺伝子レベルで調べないといけないくらい交雑が広がっているそうです。

人間は、踏み込んではいけない生き物の領域に踏み込み、自ら首を絞めてしまいました。

それを『厄介な外来生物!』だの…生き物のせいにしてはいけません。

一番厄介なのは、私たち『人間』なのですから。

 

文章:天蔵

関連記事

  1. 難しいことに挑戦してこそ人間は成長できる
  2. 小説:『知的障碍を発症した女性は、入院先で少女と出会う 中』
  3. ジル・ドゥルーズ『記号と事件』河出文庫
  4. 映画『お引越し』の紹介
  5. 世界の国と国旗☆第91回目 セルビア共和国
  6. 前野隆司著『実践ポジティブ心理学』のまとめ【最終回】
  7. ショートショート『雪の日の幸運(幸せはどこに待っているかわからな…
  8. 短編小説:『雪の日の在りし思い出』
PAGE TOP