サスペンス・ホラー

怖い話『死んだのですか?』

 

仲間たちと海辺の町へ、ドライブに行ったときのこと。

駐車場に車を停め、断崖を見に行きました。

 

わたしたちは断崖の上から身を乗り出し、波が激しく岩場に打ちつける様子を見ては、

 

「うわー、すげー」

 

などと、盛り上がっていました。

断崖を覗き込んでいた友人のひとりが、突然叫びました。

 

「うわ!死んでる!」

 

「え、死体?!どこどこ?」

 

わたしたちも断崖を覗き込んで死体を探そうとしますが、白い波に飲まれてしまったのか見つけることが出来ません。

 

死体を見つけた友人は、

 

「人呼んでくる」と言って駆け出していきました。

 

その間も、わたしたちは死体を探そうとしますが、見つけることが出来ません。

そうこうしてると、背後から人が声を掛けてきました。

 

「何かあったのですか?」

 

「死体があるらしいんですが、見当たらなくて」

 

その人は、波間の死体を探している、わたしたちに言いました。

 

「わたしは、死んだのですか?」

 

その言葉に、ハッとして振り返ると、そこには誰もいませんでした。

 

文章:百百太郎

 

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