サスペンス・ホラー

怖い話『ジョギングコースの自転車』

 

わたしは毎日、お風呂の前にジョギングをしています。

近所の競技場周りに設けられている、ジョギングコースを走るのです。

そこにはアンツーカーの部分もあります。

 

その日は、夕方までシトシトとが降っていました。

仕事帰りに覗くと、アンツーカーがぬかるんでいて、とても走れそうにありません。

走るとグチャグチャに荒れてしまいます。

やはり、ジョギングしている人もひとりも見当たりません。

 

そこに自転車に乗った人が、ジョギングコースへ入っていくのが見えました。

 

- こんな状態のとこ、自転車で乗り入れたら荒れるじゃないか -

 

翌朝、すっかり天気が良くなっていました。

休日ということもあり、昨日走れなかった分も取り戻そうと、わたしはジョギングへ出て行きました。

 

コースはまだぬかるんでいました。

場所によっては足跡がくっきりと残ります。

そんな状態の中、夕べの自転車のことを思い出しました。

自転車のタイヤのあとが、不思議とどこにも見当たりませんでした。

 

文章:百百太郎

 

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