サスペンス・ホラー

怖い話『カーテンの裏の子』

 

買い物から帰ると、子供がお友達を呼んで遊んでいました。

おもちゃやお菓子を散らかしたり、プロレスごっこしたりと、もう部屋の中はしっちゃかめっちゃかです。

かくれんぼでしょうか、カーテンの裏に隠れてこちらの様子を窺っているお友達もいます。

 

部屋の中のあまりの惨状に、わたしは思わず、怒鳴り声を上げてしまいました。

 

子供たちは一様にシュンとなって、すごすごと部屋を出て行きます。

 

「ほら、あなたも」

 

わたしはカーテンの裏に隠れているお友達に声をかけました。

怒られると思っているのでしょう、カーテンから出てこようとしません。

 

「出てきなさい、カーテンの裏にいるの、わかってるよ」

 

するとその子は、カーテンにそって走り出しました。

 

  • えっ!逃げようというの? -

 

その子が走るにしたがって、カーテンが揺れていきます。

やがて、カーテンの揺れがおさまりました。

 

わたしは勢いよくカーテンを開けました。

そこには誰もいませんでした。

 

文章:百百太郎

 

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