サスペンス・ホラー

怖い話『届かないボタン』

 

あるマンションの3階に住んでいる友人がいます。

 

友人の話では、エレベーターに向うと、ちょうどエレベーターが停まり、扉が開くのですが、中には誰もいないということが何度もあるとのことでした。

 

そのマンションではかつて、幼い子供が非常階段から転落死する事故がありました。

事故のあと再発防止のため、非常階段の出入り口に、子供では開けられないような鉄扉が設置されました。

その後、そういう不可解な現象が起こるようになったと言うのです。

 

「友人はその子供の霊が乗ってくるんじゃないのかな?」と言います。

 

自分の部屋に戻りたい子供の霊は、エレベーターを使うしかない。

ところが手が3階のボタンまでしか届かないので、しかたなく1階から3階をさ迷っているのではないか?と言うのです。

 

「だったら、踏み台でも置いてあげれば?」

 

わたしが冗談めいて言ったことを、友人はやってみたそうです。

こうして、不可解な現象は無くなりました。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『水浸しの郵便受け』
  2. 怖い話:『警察を呼んだら・・・』
  3. 怖い話『畑の中に佇む女』
  4. 怖い話『キュクロプスの夜』
  5. 怖い話『夢の中……。』
  6. 怖い話『震える犬』
  7. 怖い話『テレビの前の子供』
  8. 怖い話『夜中のお使い』
PAGE TOP