サスペンス・ホラー

怖い話『もう少し先へ』

 

仲間5人で山間の湖畔へ、1泊旅行する事になりました。

言いだしっぺの友人が、バイクで先導します。

他の者は1台の乗用車に乗り込みました。

 

バイクの友人とは、無線機でやりとりします。

ガソリンスタンドに寄るときや休息を取りたいときに、それで連絡をするのです。

それ以外、ひたすらバイクに付いて行くだけです。

 

天候もよく、順調に山道を進んで行きます。

途中、よさげな食堂を見かけたので、昼食を取ろうと無線でバイクに呼びかけますが、

 

「もうちょっと行くと、もっといい食堂があるよ」

 

ガソリンスタンドで給油していこうと呼びかけても、

 

「もう少し先まで行こう」

 

と取り合いません。

 

バイクはスピードを上げ、坂を下ってあっという間に姿を消しました。

あとに続こうとすると、

 

「ストップ、ストップ」

 

とひとりの友人が叫びました。

 

見るとそこは、急斜面でその先は湖になっていました。

そのあと、一台のバイクがやってきました。

それは先導してるはずのバイクでした。

先の食堂の駐車場で待っていたと言うのです。

 

その時、無線機から声がしました。

「もうちょっと進めば、いい場所に着けたのに・・・。」

 

文章:百百太郎

 

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