サスペンス・ホラー

怖い話『降ります!』

 

買い物帰りの夕時のバスでのこと。

わたしは帰宅の人で混雑するバスの中で、座席で本を読んでいました。

 

本を読んでいるうちにいつの間にやら眠ってしまったようで、気付けば、乗客はわたしだけになっていました。

 

  • 今どのへん走っているのだろう? -

 

窓の外を見ると、辺りはすっかり暗くなっていて、どこを走っているのかわかりません。

ひどく眠いこともあって、このまま終点まで行ってしまっても構わないやと、再び寝入ろうとしたときです。

 

「降ります!」

 

と突然、車内に女性の甲高い声が響きました。

 

驚いて車内を見渡しますが、やはり乗客はわたし以外いません。

間もなくバスは停留所に停まりました。

なんだか気味が悪くなったわたしは、慌ててその停留所で降りました。

 

運転手もさっきの女性の声とわたしに違和感を感じたのでしょう、バスを降りる際に不安そうな目でわたしを見てきました。

 

そしてわたしは、降りるべき停留所に、降り立っていました。

 

文章:百百太郎

 

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