ある日曜日の昼下がり、散髪屋での出来事。
店主が小学生の男の子の散髪をしていました。
三人組の男の子が、入口のガラスドアにペタッと貼り付くようにして、店の外からこちらの様子を窺っているのに気付きました。
お友達なのでしょう、散髪中の男の子もチラチラと外の子たちを盛んに気にして、落ち着きがありません。
店主はハサミを持った手を止め、ドアに向って歩き出しました。
店主がドアを開けようとするのを見て、男の子は叫びました。
「ダメ、ドアを開けないで!」
店主は言われたままドアを開けず、男の子のもとに戻って、散髪の続きを始めました。
「どうして?お友達でしょ?店の中で待っててもらってもいいんだよ」
すると男の子はぶるぶると震えながら、青い顔をして言いました。
「いえ、全然知らない子。あの子ら、鏡に映ってない」
それを聞いた店主がハッとして、振り返った時には、もうそこには三人組の姿はありませんでした。
文章:百百太郎
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