サスペンス・ホラー

怖い話『笑う警察官』

 

大学サークルの飲み会の帰り。

 

わたしは、すっかり酔った友人に肩を貸しながら、夜のアーケード街の中を帰っていました。

 

歩いてるうちに、わたしも酔いがまわってきたようで、バランスを崩して倒れ込みました。

そこは交番の前で、パトロールに出るところだったのでしょう、4人ほどの警察官が立っていました。

 

「きさま、公務執行妨害で逮捕する!」

 

と酔っていたわたしは、とっさにギャグを飛ばしました。

 

「あははははは」

 

警察官たちは皆、けたたましく笑いました。

 

- そんなにおかしかったかな? -

 

友人を抱き起こし、ふらふらと歩いていくと、アーケードを出たところで他のメンバーが待っていました。

 

「さっき交番のとこで、警官に笑われちゃったよ」

 

と言うと、みんな怪訝な顔をして言いました。

 

「この通りには交番はないぞ」

 

酒の飲みすぎだと言う事でその場を収めましたが、あの警察官たちのけたたましい笑い声とその姿は、今でもはっきり目と耳に焼き付いています。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

 

関連記事

  1. 怖い話『白い部屋』
  2. 怖い話:『誰かに呼ばれた』
  3. 怖い話『お迎えにあがりました』
  4. 怖い話『とめたらアカン』
  5. 怖い話『キュクロプスの夜』
  6. 怖い話『水浸しの郵便受け』
  7. 怖い話『お出かけかい?』
  8. 怖い話『自動』

おすすめ記事

厚生年金の枠拡大による障碍者へのメリット、デメリット

 厚生年金の加入条件が501人以上の従業員を持つ会社から、51人以上へと変更が検討さ…

障碍者のバスの恩恵範囲が広がった

 尼崎市では障碍者(身体、知的、精神は問わない)を対象に、市内の無料バス券を配布して…

にわかファン

  少数派といわれる本物。それだけでは、収益を上げることを重視する分野では、にわかフ…

『現実はできない』―現実は、うまくいかないよー

 泣きたい大泣きした喚きたい叫びたい…

紅茶を収穫するまでの過程

 紅茶ができるまでにはいろいろな工程を経ています。順番を次に記します。(1)生産…

新着記事

PAGE TOP