サスペンス・ホラー

怖い話『午後の授業中の怪』

 

それは小学5年生のときの、いつもと変わらない午後の授業中でのこと。

 

いつものように、静かに授業が行われていました。

隣のクラスは音楽の授業のようで、たて笛の音が聞こえてきます。

それはそれは平和な授業風景でした。

 

突然、先生がふと手を止め、何やら思い立ったように教室を出て行きました。

しばらくして、浮かない顔して戻ってきました。

 

先生は言いました。

「この笛の音、どこでしてるの?」

 

この校舎には1階は職員室と保健室、用務員室があり、2階から上は5年生と6年生の教室が入っています。

 

この日は6年生は課外授業でいません。

5年生のクラスは音楽の授業はないという事でした。

あれば音楽プレーヤーを持っていくはずです。

わたしたちの教室に、そのプレーヤーは置かれたままなのです。

 

その授業の間、笛の音は鳴りやむことはありませんでした。

わたしたちは笛の音にざわつきながら、陽気のわりに肌寒い午後を過ごしました。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『自動』
  2. 怖い話『散らかすな!』
  3. 怖い話『手伝ってくれた人』
  4. 怖い話『新聞の勧誘』
  5. 怖い話『手が届かない』
  6. 怖い話『外の世界の子供たち』
  7. 怖い話『拝まれた』
  8. 怖い話『駆け込んできたもの』

おすすめ記事

阪神電鉄『尼崎センタープール前駅』と周辺紹介

 阪神電鉄『尼崎センタープール前駅』は、兵庫県尼崎市水明町にある阪神本線の駅です。駅…

落ちても這い上がればいい【大相撲編】

 一度の挫折でクヨクヨしてはいけない。そのように思わされた出来事がある。 照ノ富…

ブックカバーは必要、それとも不要

  本屋で小説などにブックカバーをつける、光景を目にすることはありませんか。&n…

障碍者枠はブランクよりも能力を重視することもある

 ブランクは長いものの、実力はピカイチの人がいた。学歴も普通の人では到底無理な経歴を…

『自粛』―今は、我慢の時。一人一人が危機感を持った行動をしよう―

今は…出かけたくても…出かけられない。&…

新着記事

PAGE TOP