小学生の頃、隣町の公園で遊んでいたときのこと。
勢いよくブランコをこいでいると、目の前に男の子が横切ってきました。
― 危ない! ―
わたしは慌てて足を出して、ブレーキをかけました。
ブランコは寸でのところで止まりました。
その子はツンとした態度で何事もなかったように、スタスタと歩き去っていきました。
― この町は変なやつがいるのか ―
数日後、再びそのブランコに乗って遊んでいると、また目の前に男の子が飛び込んできました。
この前とは違う男の子です。
今回も、足でブレーキをかけて何とか衝突を避けました。
その子も何事もなかったようにツンとして歩き去っていきました。
「この町はあんなのばっかかよ」
わたしはすっかり憤慨して公園を出ました。
そこに友人がいました。
彼は一連の様子を見ていたようで、言いました。
「そこのブランコ使わないほうがいいよ」
「この辺、変なやつ多いもんな」と吐き捨てるように言うわたしに、彼はさらっと言いました。
「ううん、そこに霊道があるから」
文章:百百太郎
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