サスペンス・ホラー

怖い話『こっちだよ』

 

仕事終わりにスーパーに寄ってからの帰りのこと。

狭い路地を歩いていると、突然、前方の物陰から小さな女の子が顔を出し

 

「こっちだよ」

 

と言いました。

 

後ろを振り返るが、わたし以外誰もいません。

 

― 誰かと間違えてるのか? ―

 

その子はわたしの先を軽い足取りで、スキップを踏むように楽しそうに進んでいきます。

路地を出たところで女の子を見失ってしまいました。

わたしが進みたい方向へと行こうとすると、

 

「こっちだよ」

 

再びわたしを誘う声がしました。

わたしの足は自然と声のする方へと向きました。

 

いくつもの民家の間を通り抜け、角を曲がったところでわたしの目に飛び込んできたのは、献花台でした。

そこにはたくさんの花束やお菓子、ジュース、絵本などがお供えされていました。

 

それを見た瞬間、近所で幼女虐待死事件が起きたというお昼のニュースを思い出しました。

 

わたしはレジ袋からスナック菓子を取り出しお供えして、手を合わせました。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

 

関連記事

  1. 怖い話『死体現場ごっこ』
  2. 怖い話『お入りください』
  3. 怖い話『案山子』
  4. 怖い話『古い写真』
  5. 怖い話『心霊的な何か』
  6. 怖い話『のぞく子供』
  7. 怖い話『あれはオバケに違いない』
  8. 怖い話『お母さんについていく子』

おすすめ記事

『左右される?』

周りに左右されて…見事に自分も崩れていった。…

「サブ」カルチャー?

最近、新聞がどんどん薄くなっていることに、どうしようもない時代を感じます(挨拶)。と、いうわ…

先人の知恵に学んでいきたい

人間はいつごろから言葉を使うようになったのだろうか?話すことによって、相手との意…

いつの時代も主婦は大変

出典:© いらすとや. All Rights Reserved.カムバック母の日母の日が…

求道心を持とう

それぞれが、進む道で、求める心、求道心を持っていこう。道を究めるために。…

新着記事

PAGE TOP