小学4年生の時、数人で友人の家に遊びに行ったときのこと。
家に行くと家族が出かけていません。
私たちだけです。
そこで『かくれんぼ』しようということになりました。
ジャンケンでオニが決まり、数を数えます。
「いーち、にーい・・・」
みんなは2階へ上がっていきました。
わたしは1階に残り、押入れに隠れました。
裏をかくつもりで押入れを開け、下段に潜り込み、掃除機などの物の裏に真横になって身を潜めました。
わずかな隙間から外の様子を見ていると、
誰かが2階から降りてきて、真っ直ぐこちらに向ってきます。
わたしからは膝から下しか見えません。
― 2階には隠れるところなかったのか・・・ ―
彼はわたしの真上、上段に上っていきました。
やがてオニが数を数え終り、探し始めました。
2階で次々見つかり、わいわい騒ぐ声が聞こえてきます。
オニと見つかった数人が2階から下りてきました。
みんなこの押入れに向ってきます。
上段を探しているようで、オニの足がわたしの目の前にあります。
「○○みっけ」
何故かわたしの名前が呼ばれました。
わたしがいる下段を探した様子はないのにと、納得できない気持ちで這い出してくると、みんなキョトンとして言いました。
「見つかってないのに、何で出てきた?」
立ち上がって振り返ると、上段に隠れているはずの人は誰もいませんでした。
文章:百百太郎
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