サスペンス・ホラー

怖い話『ウォータースライダー』

 

中学生の夏休みに仲間とプールへ行ったときのこと。

2レーンのウォータースライダーで友人と競争することになりました。

 

スライダーの上から見下ろすと、プールサイドに数人が座って、わたしたちをはやし立てています。

わたしは「よーい、ドン」と掛け声をかけ、勢いをつけてスライダーに滑り出します。

 

水面に向ってどんどん加速していきます。

横で滑っている友人がわたしの視界から消えます。

自分が前に出たようです。

 

そのまま勢いよく水に飛び込みました。

遅れて友人が飛び込んできました。

水中からも聞こえるほど歓声が沸き上がっています。

 

わたしが水面から顔を出すと、途端にさっきまでの歓声がなくなり静まり返りました。

 

見ると、

プールサイドにいた人たちが忽然と消えていました。

周りを見渡しても、わたしたちだけがその場にポツンと取り残されたような状態です。

 

友人も腑に落ちない顔でわたしに近付いて来ると、

「そこにいた人らはどこへ行った?」

と聞いてきます。

 

一緒にプールサイドに上がってみるとそこには、いくつものお尻のあとだけが残っていました。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

 

関連記事

  1. 怖い話『増えた死体』
  2. 怖い話『俺も見えたよ』
  3. 怖い話『夢の中……。』
  4. 怖い話『相談事』
  5. 怖い話『わたしはここにいる』
  6. 怖い話:『どう思う?』
  7. 怖い話『わたしの部屋はどこ?』
  8. 怖い話『拝まれた』

おすすめ記事

怖い話『友達を呼んでいる』

中学生の時、閉門間際の学校へ、忘れ物を取りに行った時のこと。わた…

才能は天性だったとしても、努力を怠ってはならない

 才能は天性のもので、努力を積み重ねでは手に入らない。 筆者は究極の運動音痴だっ…

一方的に話しかける人からは逃げよう

 一方的な対人関係を取ろうとする人と対面したことはないだろうか。  ああいうタイ…

佐藤優, 池上和子『格差社会を生き抜く読書』(ちくま新書):ケアを考えるシリーズ5作目

佐藤優, 池上和子『格差社会を生き抜く読書』ちくま新書対談形式の書籍本書は、元外務官僚で現作…

生意気な言動には鉄拳制裁

出典:© いらすとや. All Rights Reserved.気になるっちゃ気になる最…

新着記事

PAGE TOP