海外のニュースから、筆者が気になったものをピックアップしてわかりやすくお届けするシリーズです。
第十三回は、「CHOの挑戦」と題して、あたらしい役職の奮闘について見ていきます。
CHOという役職名をご存じでしょうか?
「最高幸福責任者(Chief Happiness Officer = CHO)」という役職があるのです。
CHOは一日中何をしているのでしょうか?
あるアメリカのデジタルマーケティング新興企業のCHOは、フロリダへの社員旅行でビールとジェットスキーを手配する任務があると言います。
チーム育成のために楽しそうな活動を企画するだけでなく、社員から手当や給料に関する質問にこたえたり、社内の各種イベントの契約書にサインすることや、同僚の愚痴を聞いたりすることも、CHOの仕事に含まれると言います。
名前が変わっただけで、人事部長がやる仕事も多分にあるようです。
さらに、常にはつらつとした姿を見せ続ける必要があります。
CHOは全く新しいものというわけではなく、はじめて導入したのは米マクドナルドでした。最初はロナルド(ドナルド)・マクドナルドで、ジョークとしての存在でした。
最近では、IT企業が一風変わった企業風土を表すために、マスコット以外をCHOに任命しています。
どれくらいの数の企業がCHOを置いているか定かではありませんが、人材交流サイトを調べると、数千人のCHOが確認でき、ここ数年で50%以上増加しているようです。
ニューヨークにあるデジタル広告会社のCHOは、毎週社員100人に対し意識調査を行っています。全体の雰囲気を把握するためです。
もしそのアンケート結果から、社員の幸福度が低下したと判明したら、「なぜか」と問い、
対策を考えるとともに、急にアップしたら「どうしたらこれを繰り返せるか」と考える、
と言います。
頻繁なアンケート調査に社員がうざがらないようにしなければならないこの仕事は大変そうです。
社員の幸福を担保する責任を負うというのは、とても苦労の多いことのようです。
日本ではまだまだ馴染みのない役職ですが、ひょっとするとこれから広がりを見せるかもしれません。
社員の幸福度が上がると業績ものびるというのは研究で示されていることであり、従業員の幸せについて考えることは重要なことなのでしょう。
しかし、日本ではなかなか浸透しないかもしれません。「ばかげている」「気恥ずかしい」といった反応が目に見えているからです。とりわけ、労働力を酷使することに必死なブラック企業がまん延する日本では、CHOを置くような余裕などどこにも無いかもしれません。
嘲笑や疑問を乗り越えて、実証的なものを重視する考え方に日本全体がシフトする時代は来るのでしょうか。
文章:増何臍阿
画像提供元 https://visualhunt.com/f7/photo/49654941212/6e3bb28a75/
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