ある田舎町での出来事。
学校帰りの女の子が、突如「行方不明」になりました。
警察と町の人たちが捜索すると、通学路の途中の林の中でその女の子は惨殺体で発見されました。
犯人がわからないまま事件は迷宮入りしました。
ショックを受けた遺族は間もなく町を出て行きました。
それから十数年経って、町は開発が進み大きな道路が出来て、路線バスが走るようになりました。
少女の住んでいた家も取り壊され、跡地にバス待合所ができました。
ある晩、一組の夫婦がお酒を飲んだ帰りに、その待合所でバスを待っていました。
うとうとしていると、ドアを叩く音がしました。
風がドアを叩く音だろうとそのまま寝入ろうとしました。
耳を澄ましていると、風の音に混じって何か聞こえてきます。
「お母さん・・・、お母さん・・・、お母さん帰ってきたよ・・・」
顔を上げて見ると、血まみれの女の子がドアを叩いていました。
その日はちょうど事件のあった日でした。
女の子は家が無くなっていることに気付かず、帰ってくるのかもしれません。
文章:百百太郎
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