小学校の時の放課後の話。
小学校の裏の塀を乗り越えると目の前という場所に、廃工場がありました。天井まで10m近くはあろうか大きなドーム型のトタン屋根の建物です。
廃工場と言っても当時は駐車場として使われていました。
平日の昼間は車もなくガラーンとしていました。
わたしたちはここでよく雨宿りしていました。放課後の校庭でソフトボールしている時に雨が降ると、いつもここでキャッチボールや軽いノックをするのです。
その時もわたしたちは雨に降られ、そこへ避難していました。
バタバタバタ
雨がトタンを激しく叩く音がします。
20分ぐらい経った頃でしょうか。
突然ひとりが外に飛び出し、手を広げて言いました。
「おーい、雨、やんでるぞー」
見ると明るい光もさしています。
でもバタバタバタと激しく音が鳴っています。
わたしたちはみな天井を見上げました。
何人もの子供のような影が走り回っているのが、トタンを透けて見えました。
わたしたちはただ呆然とそれを見上げていました。
文章:百百太郎
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