サスペンス・ホラー

怖い話『おじいさんが寝てるんや』

 

わたしが小学生の頃の話。

隣町に小さな空き地を見つけました。

その空き地は2階建て民家の真横にありました。わたしは仲間とその民家のブロック塀をゴールに見立てて、ミニサッカーみたいなことをしていました。

 

ある時いつものようにサッカーをしていると、

「おじいさんが寝てるんや、静かにして」と声がしました。

見ると、おばあさんがブロック塀越しにこちらを覗きこんでいました。

 

無視してサッカーを続けていると、再びおばあさんがブロック塀から

「おじいさんが寝られへんやないの!!」と怒鳴りました。

 

それでもわたしたちは無視してサッカーを続けました。

そんなわたしたちをおばあさんは塀越しに怖い形相で睨み続けていました。

 

サッカーを続けているうちに、

ボールが弾みすぎて、塀の中へ飛び込んで行きました。

おばあさんがボールを拾い上げて部屋に入ってしまいました。

 

わたしたちは、

「すいませーん、すいませーん」と

何度も何度も玄関チャイムを押したり声をかけました。

が、すっかり怒らせてしまったようで出てきません。

後日あやまってボールを返してもらおうと話し合い解散しました。

 

その日の夜のニュースで、その民家が映し出されていました。

おじいさんが病気を苦に自殺しており、死後数日経っていたという内容です。

わたしたちが長い時間玄関先で呼びかけていたのを、近所の人が不審に思ったのが発見のきっかけでした。

 

なお、そのおじいさんは一人暮らしだったというのです。

ボールが返ってくることはありませんでした。

 

文章:百百太郎

 

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