サスペンス・ホラー

怖い話『新聞の勧誘』

 

これは大学の先輩から聞いた話です。

 

ある日の昼下がりのこと。

ベランダで洗濯物を干し終わって部屋に戻ると、見知らぬ背広姿の中年男性が部屋の隅に立っていました。

先輩は突然のありえない出来事に反応できず、その場に立ちすくんで男を凝視していました。

 

しばらくにらみ合いが続いたあと、男は言いました。

「△□新聞やけど、新聞どことってる?」

 

「○×新聞ですけど」

先輩が怪しみながらもそう答えると、男はがっかりした様子で玄関へ向って進み始めました。

 

部屋を出るのかと見ていると、その男は玄関のすぐ脇にあるトイレのドアを開けて入ってしまいました。

いつの間にやら部屋にあがりこんだ上に、断りも無くトイレまで・・・。

あまりの勝手な振る舞いに怒った先輩は、勢いよくドアを開けました。

 

そこには男の姿はどこにもありませんでした。

その瞬間、先輩はこう思ったそうです。

「このドアは、『どこでもドア』になってしまったのか!?」

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『相談事』
  2. 怖い話『持っていくな』
  3. 怖い話『丸められた紙』
  4. 怖い話:『海底の人影』
  5. 怖い話『私に見える女性』
  6. 怖い話『早く見つけてよ』
  7. 怖い話『二階の子供』
  8. 怖い話:『止まらないタクシー』

おすすめ記事

短編小説『どうしようもない男に鉄槌を下す時がやってきた』

 人間は他人のやってほしいことを察知する能力が低いといわれている。私の旦那は違うと思…

鯛の頭を安く手に入れてみた:簡単で手ごろな料理を紹介します

 スーパーの鮮魚のコーナーに行くと、大抵は「カブト割」がしてあって、二つに割った養殖…

世界の国と国旗☆第36回目 カザフスタン共和国

皆様こんにちは椎名 夏梨(しいな かりん)です。いつも読んで…

世界の国と国旗☆第45回目 カンボジア王国

皆様こんにちは椎名 夏梨(しいな かりん)です。いつも読んで…

なぜ缶コーヒーには「スチール缶」が多い?

暑い時期、のどが渇いたときに、近くの自動販売機で缶コーヒーや缶ジュースを買って飲…

新着記事

PAGE TOP