病院に行くと、待合室に一組の親子がいた。
お母さんと二人の子供。
お母さんが幼子を抱っこして、もう一人の男の子は自由にさせている。
その子は、うるさいくらいはしゃぎ回っていた。
医師も気になったようで、受付まで出てきて、男の子をジッと睨みつけた。
男の子はさすがに医師の眼力に圧されてか、大人しくなった。
医師が診察室に引っ込むと間もなく、
「〇〇さーん」
と呼び出しの声。
幼子を抱えた母親が診察室に入っていく。
それに続いてもうひとりの男の子も付いて行く。
やがて診察を終えて出てきた母子にあの男の子の姿がなかった。
診察料を払い母子は、二人だけで帰っていった。
わたしが変に思っているところへ、再び医師が受付まで出てきた。
「今の人、もう一人子供連れてなかった?」
受付の看護婦が、
「お子さんはおひとりでしたよ」
と言うと医師は、
「またか・・・、あのお母さんに憑いている子だったんだな」
文章:百百太郎
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