福祉・医療

知的障碍の生きにくさ

 

 障碍には知的障碍、身体障碍、精神障害がある。今回は知的障碍を取り上げる。 

 

 幼少期

 知的障碍者は見た目で判別できなくとも、学力の低さなどですぐに判別する。漢字の読み書きや簡単な足し算ができない、三次元がわからないなど明らかに一般より劣っている部分がある。知的障碍の目安は平均IQ70程度なので、早ければ小学生低学年、遅くとも中学一年生くらいになると、他のクラスメイトについていくのは難しくなる。(IQ70であった場合、勉強は中学一年生、実技系科目は小学校1年生から弊害が出る)

 知的障碍にとって一番つらいのは、努力不足の一言で片付けられてしまうこと。本人に伸びしろがないにもかかわらず、頑張りなさいといわれるのはメンタル的なダメージが非常に大きい。(できないことをやれというのは虐待に等しい)

 幼少期に知的障碍の診断を受けず、一般学校に通っていた場合は自信を失っている確率が非常に高くなる。(他に同じような人がいない限り、クラスで最下位になるのは避けられない)

 一般社会で人格をけなされ、人間性を否定されることでネガティブな思考に陥ってしまう。ストレス解消を目的としたいじめのターゲットになりやすいため、知的障碍を発見した場合は本人の意思にそぐわなかったとしても、特別支援学校に通った方が無難といえそうだ。こちらならば高等学校まで卒業することができるし、不当な差別を受ける確率を下げられる。(職員が知的障碍であることを悪用する場合もあるので、学校は慎重に選びたいところ)支援学校でよい指導者と巡り合った、知的障碍者の一部はポジティブ思考をしていた。

 上記で学力について取り上げた。

 

 今度は社会的ルールの面についての話をする。

 知的障碍は何をしてもよいのかをよくわかっていないうえ、相手のいったことは真実であると信じ込みやすい。悪いことを教えられるとすぐに実行してしまう傾向にある。(素直な一面がある)それゆえ、出会いによっては人生を棒に振ってしまいかねないリスクを背負っている。(知的障碍者が万引きで逮捕されるというニュースは、幼少期にそのことを教え込まれたというのも充分にありうる)

 状況判断力、社会常識感覚もはっきりいって弱いといえる。一般なら簡単に理解できることも、彼らにはわからない。それゆえ、場面にそぐわない行動を取ることも少なくない。

 見た目以上に生きにくさを抱えている。

 

 知的障碍の仕事について取り上げる。

 軽度の障碍であったとしても、満足な仕事をするのは厳しいといえよう。他人の50パーセント程度の能力しか有していないため、どんなに力を尽くしたとしても大きな差が現れる(稀に一部が健常者に近いことはありえなくはない)。一般枠では戦力とみなされないだけでなく、障碍者枠であったとしても居場所を確保するのは難しいといえるのが知的障碍の苦しさといえる。全力を尽くしても評価されないことで、被害妄想に陥る、相手に逆切れするといった兆候が見られることもある。(自分は普通にやっているという認識からきている)

 知的障碍者ができるとすれば、掃除などの簡単に職業に限定される。障碍者枠であっても高卒以上が必要とされる事務職などは難しい。資格が必要とされるものはまず無理といえる。

 就業の難しい知的障碍者の大半はB型作業所に辿りつくことになる(A型作業所に能力主義が取り入れられると、通所するのは一気にハードルが上がる)。こちらで1ヶ月間丸々働いたとしても、15000円くらいしか手取りがもらえない。病気に生まれたことで、不当ともいえる社会的差別を受けることになる。運よくA型作業所を利用できたとしても、平均給料は8万円前後なので充分とはいいがたい。

 

 障碍年金について 

 現在では中度(おおよそIQ50以下)から支給され、軽度であった場合はもらえないようだ。軽度知的障碍者は満足に仕事ができず、障碍年金も支給されないというジレンマに陥る。障碍年金の拡大が望まれるけど、国の財政が厳しいために現実的ではない。(将来的には中度も除外の対象となることもありえる)

 

 知的障碍が生きやすくなるためには

 知的障碍が生きるためには家族の協力が欠かせない。悪い人間とくっつきそうになった場合は、全力で切り離していくように努めたい。一人では生きられないため、他者のサポートを常に必要としているといえる。

 支援員と話をするときも家族が付き添うようにしたい。知的障碍者を抱えていても、人間としての尊厳を傷つけないようなタイプを一緒に見つけていこう。

 

*内容を随時更新していく可能性があります。

 

文章:陰と陽

 

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