コラム

小説:『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(7)』

 

前回まで

・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(1)

・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(2)

・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(3)

・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(4)

・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(5)

・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(6)

 

前回からの続き

 

 二度目の洞窟に入る。ミサトの妹の命を助けるため、100階まで行くことを義務付けられる。

 

洞窟の10階くらいまではぷよスラしか出てこなかった。アヤカは難なく撃破することができた。

 

 10階には宝箱がたくさん置かれていた。0の倍数のつく階においては、多くのアイテムをゲットできるようだ。

 

 11階にあがった。これまでは洞窟のような作りだったのに、迷路を感じさせるような造りに変わった。10階ごとにシステムが変わるのかな。

 

 11階の敵はぷよスラではなく、スラぷよだった。名前を考えるのが面倒だから、順番を逆にしたのかもしれない。

 

文字を逆にしただけかなと思っていると、見た目は全然違った。スラぷよはスライムさながらだった。ぷよは特徴になってしまっている。

 

アヤカは攻撃を加えると、スラぷよはあっという間に倒れてしまった。こちらも簡単に撃破できてしまった。

 

21階までは、スラぷよのみの登場だった。あまりにも弱すぎるので、拍子抜けしてしまった。

 

ゲームで敵を倒すと経験値を得られるのに、洞窟では1ポイントすら経験点を得られなかった。こちらの世界にやってきた時点のレベルを変更することは、不可能となっているのかもしれない。

 

このシステムだと、自分磨きをするのは難しい。レベルの低い者は、泣き寝入りするしか方法はない。

 

 21階からは、周囲の色が明るくなっていた。陽気なイメージを感じさせるものだった。

 

 ココからはどんな敵と出くわすのだろうか。そのようなことを考えていると、「ようへい」という敵が出現した。

 

「ようへい」は用心棒さながらだった。洞窟の門番という言葉がしっくりとくる。

 

 アヤカは「ようへい」を攻撃する。これまた一撃であの世送りにしてしまった。レベル90だけあって向かうところ敵なしといった状態だった。

 

 敵を倒しているうちに、アヤカは100階まで上がってきた。あまりにも歯ごたえがなさ過ぎて、拍子抜けしてしまった。異次元の世界におけるレベル90は、無敵クラスのようだ。

 

 洞窟では多くの宝箱を拾った。冒険の醍醐味なので、全部を回収することにした。合計で3万ゴールドくらいを入手できた。

 

 プヨすらなどを合わせると、5万ゴールドくらいになる。ボスを倒さなくとも、一生の食べ物は保障されたようなものだ。現実世界もこんなに楽にお金を稼げたら、過労死することはなかっただろうな。能力というのは、どの世界においても一番であることを見せつけた。

 

いっそのこと、ボスを倒さずに脱出したいところだ。王女からの要望を叶えるという仕事がなければ、ラスボスに挑もうとは思わなかった。

 

 百回の王座にはドラゴンが立っていた。いかにも強そうな印象を受けた。倒されたくはないけど、歯ごたえのある相手であってほしい。このまま終わってしまったら、レベル99の状態で最初の雑魚をいじめているかのようだ。

 

 ドラゴンはゆっくりと目を覚ますと、こちらを威嚇する。これまでの敵よりは、風格が漂っていた。

 

「おまえが十人目の犠牲者か。すぐにあの世に葬ってやる」

 

 これまで九人の魂が吸われてきたのか。思っていたよりも少ないな。一獲千金を夢見る人間はもっといるかと思っていた。現実思考の人間が多いのかもしれない。お金はもらえても、自分の命を天秤にかける人はいないかな。

 

 アヤカはドラゴンに攻撃を加える。これまでの敵とは異なり、一撃で倒すことはできなかった。ただ、瀕死状態に陥っていたので、すぐに撃破できそうだ。

 

 300歳の老人があの世に直行しそうな状態で、ドラゴンは攻撃を加えてきた。渾身の力を振り絞っているのか、スピードはあった。ただ、赤ちゃんがハイハイしているよりもずっと遅かった。超スローモーションというやつかな。アヤカは楽々と、敵の攻撃を回避した。

 

 ドラゴンは攻撃を回避されたことに驚いていた。

 

「人間のくせに・・・・・・」

 

 瀕死の状態でいっても、一ミリも説得力はない。あんたは次の攻撃で、確実にあの世送りになる。

 

 アヤカは二発目の攻撃を加える。クリーンヒットしたのち、ドラゴンはあの世に旅立っていった。こんなに簡単ならば、最初から100階まで潜ればよかった。

 

「人間がこんなに強いわけが・・・・・・・」

 

 ドラゴンをあっけなく倒してしまった。レベル90にもなると、どんな敵も無力化してしまうようだ。

 

「アヤカは1000万ゴールドを入手した」

 

 聞いていたものと一桁違う。多くなっているのだから、大目に見ることにしよう。10万ゴールドなら大ブーイングを浴びせていたと思う。

 

 王女の妹を助けるための資金は集まったので、助けることにしよう。王女に最大の恩を売っておけば、街での生活は安泰となる。現実世界では上司ににらまれて、息苦しい生活を余儀なくされた。上のものを敵に回すと、社会における居場所を失う。

 

文章:陰と陽

 

画像提供元 https://foter.com/f6/photo/2628869994/087a85722c/

関連記事

  1. ショートショート『幸運をもたらす亡霊』
  2. マスク警察24時!
  3. 東中竜一郎『AIの雑談力』角川新書
  4. 千代丸、英乃海が休場後に土俵復帰
  5. 「善き友」を求めていきたい
  6. 病んだ社会
  7. 楽しみ
  8. あなたはマスクを外しますか?それとも着用しますか?

おすすめ記事

怖い話『カーテンの裏の子』

買い物から帰ると、子供がお友達を呼んで遊んでいました。おもちゃやお菓子を散らかし…

日本人は他人に求めすぎる

 日本人は他人に期待をしすぎる(求めすぎる)、そのように感じたことはありませんか。…

『輝き続けた…』―自分を信じる力が大切―

輝き続けた空の下に…存在する私達。だから……

障碍者本人が主役になろう

 支援機関に登録することによって、自分の成長の道を閉ざしてしまう。障碍者の中にはそう…

(俺は、落胆した。今までずっと続けてこられたのに、今までの苦労が水の泡になってしまったのだ。…

新着記事

PAGE TOP