前回まで
・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(1)』
・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(2)』
・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(3)』
前回からの続き
アヤカは食料店に向かった。緑の村ではどのような食材を販売しているのだろうか。
食料店の中は、スーパーマーケットという印象を受けた。現実世界にあるものをそっくりそのまま置き換えている。
アヤカはリンゴをものすごく食べたい気分だったので、果物・野菜コーナーを最初に回ることにした。
リンゴは5個で1ゴールドだった。アヤカは一瞬の迷いもなく、リンゴを買い物かごに入れた。
オレンジは3個で1ゴールド。こちらも食べたい気分なので、購入することにした。
バナナは20本で1ゴールドだった。現実世界においても安い果物は、こちらにおいては価格破壊している。バナナはどこにいっても、安い果物の象徴なんだな。
20本はいらないものの、購入することにした。横で全く同じバナナが10本入りで売られているものの、値段は同じだった。1ゴールドに満たない場合、切り上げという概念で営業しているようだ。
果物だけでなく、野菜も摂取したい。アヤカは野菜コーナーに向かった。
もやしを購入しようかなと思ったものの、800グラムで1ゴールドとなっていた。一人では食べきれそうにないものの、かごに入れることにした。
玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、キャベツ、レタス、さやえんどうなどについても量が多かった。全部を買うと、持ち運びに不便だ。
野菜コーナーではもやしとキャベツを購入した。これだけあれば、当分は持つだろう。
肉コーナーに向かった。牛肉・鶏肉・豚肉コーナーを買っておきたい。
牛肉は500グラムで2ゴールド。これだけの肉があれば、数日間は持たせることができるのではなかろうか。アヤカはこちらを買い物かごに入れた。
鶏肉は400グラムで1ゴールド。こちらも一つだけ、買い物かごに入れることにした。
豚肉は450グラムで1ゴールド。これも購入しようかなと思った。
次に必要なのは卵である。これなくしては、食事を作るのは難しい。
卵は30個で1ゴールドだった。10個くらいでいいんだけど、と思いつつもかごに入れることにした。
コメは20キロで1ゴールドだった。こちらもお買い得ではあるものの、一人暮らしには量が多すぎる。スーパーは家族を想定しているのかなと思った。
パンコーナーに向かうと、食パンが15枚1ゴールドだった。
全部を足し合わせて10ゴールドくらいかな。100ゴールドを持っていれば、7日くらいは持たせることができそうだ。マリアからの情報は、真実だったようだ。
レジに向かおうとしていると、思わぬ人物と出くわした。洞窟の情報をくれたマリアだった。
「マリアさんも食料の調達ですか」
「はい。夕食を買いに来ました」
肉、野菜などをまんべんなく購入していた。現実世界なら5000円はくだらないところだけど、こちらでは10ゴールドくらいといったところか。
「食料はどうしてこんなに安いんですか」
「生活必需品だからです。緑の村では、必要なものを安く揃えられます」
「一人暮らしには向かないですけど・・・・・・」
「そんなことはないですよ。冒険者ならこれくらいはぺろりと平らげます」
大食い選手権かよと突っ込みたくなるも、アヤカは何もいわないことにした。
「言い忘れていましたけど、洞窟には1週につき1度しか潜れません。なお、日曜日になると回数がリセットされます」
ちょっと待て。重要すぎる情報を後出しでいわないでくれ。毎日のように洞窟に潜って、お金を稼ぐ計画は水の泡となってしまった。
来週からは敵を倒す数を増やそう。安定した生活を送るためには、ゴールドをたくさん持っていた方がいい。
「労働をすれば一時間あたり10ゴールドもらえます。生活は充分にできますよ」
現実世界で過労死したので、職場で働きたくない。洞窟で入手したお金だけで生活したい。
レジには誰も立っていなかった。どのように会計するのかなと思っていると、マリアに声をかけられた。
「セルフレジの上に商品を置くと自動で会計してくれます」
自動でやってくれるなんて夢のようだった。未来的なシステムに感嘆としていた。
「12ゴールドになります」
指定された金額を入れると、自動で袋詰めをしている。新しいサービスはありがたいと感じる。
文章:陰と陽
画像提供元 https://foter.com/f6/photo/6688989961/3a74da45ed/