サスペンス・ホラー

怖い話『かまくら』

 

東北地方出身の友人から聞いた話です。

 

彼の町では毎年冬になると、かまくら祭りをするそうです。

大人たちがかまくらを作り終わり、会場周辺道路の除雪作業をしていた時のことです。

 

ふと手を休めて会場を見ると、かまくらの間を縫うように小さな男の子が走りまわっていました。

その時は

 

―見かけない子だけど、どっかの親戚の子が遊びに来てるのだろう―

 

程度に思っていたそうです。

 

しばらくして、また会場を見ると、いつの間にか女の子もいました。

ふたりは鬼ゴッコをしている様子で、女の子が男の子を追いかけています。

 

「あの子ら、どこの子だ?」

「さあ、見かけない子供らだな」

 

などと話しながら見ていると、男の子がかまくらの中へ飛び込んで行きました。

それを追いかけて女の子も飛び込んで行きました。

 

するとそのかまくらが、グシャっと崩れてしまいました。

 

大人たちが慌てて救助に向ったのですが、そこには男の子も女の子も見つけることができなかったそうです。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『何かいた』
  2. 怖い話『押し入れにいたもの』
  3. 怖い話『廊下に続く足痕』
  4. 怖い話『公園のベンチで寝ていると』
  5. 怖い話『拝まれた』
  6. 怖い話『赤い月』
  7. 怖い話『持っていくな』
  8. 怖い話:『見える人、見えない人』

おすすめ記事

一つ一つが成長

人は、はじめから完璧な人と言おうか、良くできた人という人は、なかなかいないと思い…

『1ページに刻まれる』―人生何冊自分の本ができるのだろう―

毎日日々を過ごし…毎日1ページに刻まれる。そ…

深田萌絵『ソーシャルメディアと経済戦争』扶桑社新書

深田萌絵『ソーシャルメディアと経済戦争』過去に、ご自身で立ち上げ…

ドコモで顧客を侮辱したメモが渡された

  ドコモショップにおいて、「親代表の一括請求の子供なのでクソ野郎」と書かれた、メモ…

同姓同名の候補者に投票する場合の注意点

 静岡県の補欠選挙にて、同姓同名の候補が立候補するという異例の事態となった。&n…

新着記事

PAGE TOP