コラム

小説:『垣根のうえの猫と目が合った。』

 

ある日、垣根のうえの猫と目が合いました。

 

こちらが口笛を鳴らすと、にゃーと返してくれます。

 

それから、縁側の石のうえにエサを置く習慣ができました。

 

今まで見かけた野良猫たちはとても警戒心が強く、

なついてくれそうな気配はまるでなかった。

 

けれど、垣根のうえの猫は、手のひらのエサを食べてくれるまで

そんなに時間はかからなかったのです。

 

ある夜、いや、夜というより明け方に近いような時間だったかもしれません。

窓のところでバン!と大きな音がして、なんやなんや、と見てみたら

垣根のうえの猫が、窓の桟の狭いところに脚をのばしてないているのです。

 

当時住んでいた家のわたしの寝室は一階にあり、猫がジャンプして

これる位置に窓があるとはいえ、驚きました。

 

わたしは猫を部屋にいれて、朝まで過ごしました。

 

それから十数年。

 

猫は命を終え、お寺で供養してもらいました。

 

猫の名前は「みーこ」。

 

この物語は、わたしとみーこ、そしてさまざまな人々とのふれあいを

描いたものです。

 

つづく

 

文章:parrhesia(ぱれーしあ)

 

関連記事

  1. HSPについて
  2. コロナ禍の区切り、だが。
  3. 頂きますって言ってるんだから感謝して食べよう
  4. レンタル障碍者制度について
  5. 映画『ミザリー』をご紹介
  6. 知ったかぶり音楽論
  7. フランツ・カフカ『城』前田敬作【訳】新潮文庫
  8. 小説:『自分の道(1)』

おすすめ記事

『グレン・グールド 孤独のアリア』

『グレン・グールド 孤独のアリア』本書は、フランスの文筆家ミシェル・シュネーデル…

『わがままじゃない』

わがままな行動や発言を言ってる訳じゃない。自分の身を守るためにし…

怖い話『おじいさんが寝てるんや』

わたしが小学生の頃の話。隣町に小さな空き地を見つけました。その空き地は2階建…

社会的弱者をコロナウイルスの脅威から守ろう

 千葉の障碍者施設でコロナウイルスの集団感染があった。対象者は福祉施設の職員、利用し…

テニスの全米オープンで途中棄権したジョコビッチ選手を擁護する

9月1日に男子シングルス4回戦が行われました。2連覇と4度目の優勝を狙っていたノバク…

新着記事

PAGE TOP