サスペンス・ホラー

怖い話『呼んでるよ』

 

夕刻頃、2階の部屋にいると、背後の襖が開く気配がしました。

襖の向こうから妹がいつものように呼びかけてきました。

 

「呼んでるよ」

 

「夕飯?すぐいく」

 

振り向くと妹はもうそこにはいません。

いつもと様子が違いました。

 

‐ いつもはご飯だよって来るのに ‐

 

おかしいと思いながらも、1階へ降りていきました。

母はまだ夕食の準備中でした。

母に「呼んだ?」と問いかけても「呼んでないよ」。

 

「ご飯の支度できたら呼ぶから」

 

と言われ、わたしは首を傾げながら自分の部屋へ戻っていきました。

 

部屋に戻るとまたすぐ、

 

「呼んでるよ」

 

と、声がかかりました。

 

「え、何?」

 

1階へ降りていくと、台所の向こうの仏間の襖が少し開いて、そこから手が出て、おいでおいでをしていました。

その時、背後から

 

「どうしたの?」と妹が声を掛けてきました。

 

  • あれは妹じゃない! -

 

その時わたしは、0点の答案を仏壇に隠してあったのでした。

仏間に入っていたら、どんな怖い目に遭っていたことでしょう?

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f5/photo/14472294028/f1da089214/

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