夕刻頃、2階の部屋にいると、背後の襖が開く気配がしました。
襖の向こうから妹がいつものように呼びかけてきました。
「呼んでるよ」
「夕飯?すぐいく」
振り向くと妹はもうそこにはいません。
いつもと様子が違いました。
‐ いつもはご飯だよって来るのに ‐
おかしいと思いながらも、1階へ降りていきました。
母はまだ夕食の準備中でした。
母に「呼んだ?」と問いかけても「呼んでないよ」。
「ご飯の支度できたら呼ぶから」
と言われ、わたしは首を傾げながら自分の部屋へ戻っていきました。
部屋に戻るとまたすぐ、
「呼んでるよ」
と、声がかかりました。
「え、何?」
1階へ降りていくと、台所の向こうの仏間の襖が少し開いて、そこから手が出て、おいでおいでをしていました。
その時、背後から
「どうしたの?」と妹が声を掛けてきました。
- あれは妹じゃない! -
その時わたしは、0点の答案を仏壇に隠してあったのでした。
仏間に入っていたら、どんな怖い目に遭っていたことでしょう?
文章:百百太郎
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