東北地方出身の友人から聞いた話です。
彼の町では毎年冬になると、かまくら祭りをするそうです。
大人たちがかまくらを作り終わり、会場周辺道路の除雪作業をしていた時のことです。
ふと手を休めて会場を見ると、かまくらの間を縫うように小さな男の子が走りまわっていました。
その時は
―見かけない子だけど、どっかの親戚の子が遊びに来てるのだろう―
程度に思っていたそうです。
しばらくして、また会場を見ると、いつの間にか女の子もいました。
ふたりは鬼ゴッコをしている様子で、女の子が男の子を追いかけています。
「あの子ら、どこの子だ?」
「さあ、見かけない子供らだな」
などと話しながら見ていると、男の子がかまくらの中へ飛び込んで行きました。
それを追いかけて女の子も飛び込んで行きました。
するとそのかまくらが、グシャっと崩れてしまいました。
大人たちが慌てて救助に向ったのですが、そこには男の子も女の子も見つけることができなかったそうです。
文章:百百太郎
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