コラム

ショートショート『天才を採用した末路』

 

 障碍者枠でIQ140を誇る社員が中途採用された。

 日本で一番といわれる東大でIQ120前後といわれる。IQ140はそれを遙かに上回る。発達障碍といわれていても、戦力になることは間違いない。

 入社当日、既存社員は障碍者枠で入社した人間を全員で歓迎した。これからの戦力として期待できるとあって、全員は活躍を信じて疑わなかった。

 結果だけいうと、障碍者枠で入社した社員は一ヶ月もしないうちに孤立してしまった。あまりに賢すぎるため、みんながついていけなかった。高度な専門用語を連発するため、解読するまでに時間を要してしまい、会社全体の仕事効率が大きく落ちてしまった。

 障碍者枠の社員には悪いけど、入社する企業を間違えたとしか思えない。一人でやる仕事以外では、配置するのが難しいといわざるを得ない。

 会社の障碍者枠採用では、天才を採ることはなくなった。どんなに頭がよくても、周囲に溶け込めない人間は使い道がない。少数派のために多数派を犠牲にするわけにはいかない。

 

文章:陰と陽

関連記事

  1. 障碍者施設における利用者との接し方
  2. 小説:『自分の道(1)』
  3. エジソンの言葉を障碍者支援に当てはめる
  4. エッセイ:『さもしい世の中』
  5. がんばるコンビニ
  6. 千葉雅也『現代思想入門』講談社現代新書
  7. 障碍者として生まれたために失ったもの
  8. 特別支援学校に通うメリットとデメリット
PAGE TOP