夏に大学の合宿で、長野の温泉地に行った時のこと。
宿に着くと早速、全員で近くの川沿いの散策に出かけた。
土手に立ち止まって、せせらぎを眺めていると、ひとりフラフラと、集団から離れるやつがいた。
近くに石橋があったので、橋の上から川面を覗こうというのだろう。
誰も特に気にする者はいない。
そいつはしばらく橋の上から川面を見下ろしていたかと思うと、突然、ふらっと振り向き、車道を渡って、反対側へ行こうとした。
丁度そこに、トラックが通りがかっていて、あやうく轢かれる寸前だった。
それはまるで、昔のドラマの有名なシーン「僕は死にませーん」のよう。
みんなびっくりして駆けつけると、そいつは「誰だよ、俺を呼んだのは?」と。
全員が「??」となっていると・・・
道路の反対側から「こっちこいよ」と呼ぶ声がしたと言うのだ。
百百太郎