前野隆司著『実践ポジティブ心理学』のまとめ【第四回】
はじめに
「ポジティブ心理学」は、90年代にアメリカ心理学会の会長であったマーティン・セリグマン氏が提唱したもので、海外の学会でも大きな話題となり、ハーバードなどの講義でも人気になっているといいます。
ポジティブ心理学は、それまでの臨床心理学のように心の病を対象とするのではなく、普通の人が「どうすればもっと幸せになれるのか」を追求する分野です。
「マインドフルネス」や「レジリエンス」もポジティブ心理学の重要なキーワードです。
基本的には普通の健康状態にある人向けですが、著者は、心の病にかかっている人も生きるヒントを得られると言っています。
第四回は、「いいストレスは幸せにつながる」ということで第三章のまとめです。
いいストレスは幸せにつながる
不幸な状態に陥る原因として、ストレスがあります。
ストレスがあまりにも多すぎると、心が折れてしまいます。
しかし、ストレスがまったくないお花畑で住むような状態だと、幸せにはならないと著者は言います。
目標に向かって成長しようと適度なストレスがかかっていることが、幸せにつながるのです。
大事なことは、適度な負荷をかける、ということです。
また、ストレスでしんどいな、という時に行うストレス・コーピングが勧められています。
ストレス・コーピングとは、物事の良い面を見ることや、気晴らしを行うことです。
例としては、紙の書類からパソコンでの作業に切り替わって、新しい技術に慣れなければならないとします。
これをしんどいなとだけ思うのではなく、作業が効率的に行える、異なる分野の人と知り合えるなど、物事の良い面を見ることで、ストレスに感じないようにするということがあります。
気晴らしも、「すぐにできる気晴らし」「たまにするちょっといい気晴らし」「とっておきの気晴らし」など、何段階かに分けて、その時々のストレスレベルに応じた気晴らしをするといいと言います。
ストレスやトラウマにも良い面がある、と著者は言います。
逆境をのりこえた先に幸せがある、というのです。
また、性格の良さと幸せが比例するといいます。
他人を幸せにする利他的な人こそが、幸せな人だということです。
実際にそれを証明する研究報告がなされているようです。
また、コミュニケーションロボットの活用も進められている、といいます。
遠隔地にいる人とのコミュニケーションを、ロボットを介して行うことです。
総じてこの章は、なにか具体的な方法というものではなく、考え方を紹介している、という感じです。
ストレスというものをただただ悪いものと見なすのではなく、適度にストレスを感じながら良い方向へと向かおうとすること。
気分転換のために気晴らしをすることや、物事のいろいろな面を見る、視点や考え方を柔軟にすることでストレスに対処することがたいせつであること。
そういったふうに、考え方を変えてみるといいことがある、ということを気づかせてくれる内容でした。
文章:増何臍阿
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