海外のニュースから、筆者が気になったものをピックアップしてわかりやすくお届けするシリーズです。
第八回は、「ゼロ金利の終わり」と題して、終わりを迎えるゼロ金利政策について見ていきます。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月16日、二年ぶりに事実上のゼロ金利政策を解除しました。
それだけでなく、今年から来年にかけて利上げを実施していく意向を示しました。
ヨーロッパ中央銀行(ECB)も今月、年内に利上げを行うための布石を打ちました。
コロナ以降、サプライチェーン(供給網)の目詰まりによりモノの価格が高騰し、インフレ見通しが悪化していた世界。
それが解消し年内にインフレが低下するとの予想は、ロシアのウクライナ侵攻により、もろくも崩れ去りました。
ヨーロッパでの戦争、西側によるロシアへの経済制裁によりサプライチェーンの混乱に一層拍車がかかり、さまざまな製品の原料となる資源の価格高騰が深刻なものになりかねません。
現在の地政学的なリスクによるインフレは、70年代のオイルショックのときのような悪夢を想起させるものです。
そのため、景気後退のリスクがあっても、なんとかインフレを抑え込むために各国の中央銀行は利上げを追加的に実施する予定です。
例えばアメリカであれば、一般消費者にとって大きい事象は住宅ローンまわりであり、コロナ以降の住宅熱がどういった方向へと向かうか、大きな混乱が起きることが予想されます。
米国の著名な投資家であるウォーレン・バフェットは、金利を重力にたとえたことがありました。
ゼロ金利の終わりは、正常な世界へと戻ることを意味しますが、火星や月に住むことに慣れた人間が地球に帰還するようなもので、どのようなショックを引き起こすのか不透明な部分が大変大きいと言えるでしょう。
文章:増何臍阿
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