コラム

【第二回】『マーケット感覚を身につけよう』

 

ちきりん『マーケット感覚を身につけよう』ダイヤモンド社 の紹介

 

本書は、「マーケット感覚を身につけること」がこれからの世界を生き残る重要事項であることを示し、そのための具体的な方法について次の5つを提示しています。

 

  1. プライシング能力を身につける
  2. インセンティブシステムを理解する
  3. 市場に評価される方法を学ぶ
  4. 失敗と成功の関係を理解する
  5. 市場性の高い環境に身を置く

 

第二回は、「2.インセンティブシステムを理解する」についてご紹介します。

 

インセンティブシステムを理解する

 

インセンティブシステムについて深く理解することで、市場における需要者や供給者が何に基づき、次にどんな行動にでるのか、推測し、予測する力をつけることができます。

 

インセンティブシステムとは馬の目の前に吊り下げられたニンジンのことで、「ニンジンを目の前に吊り下げれば、馬はそれを食べたいがために、走り始める」という、動機から言動に至る仕組みのことです。

 

人間の行動には常になんらかの理由がありますが、「子供にアイスクリームを渡せば泣き止む」といったように、「欲しいものをもらえた→機嫌がなおる」という単純なインセンティブシステムは大人の場合は機能しません。

 

動機から行動につながる流れはとても複雑で、その仕組みの理解には、特定の条件・環境下でのみ現れる心理的な動きを利用したり、複数のインセンティブシステムの要素を組み合わせたりする必要があります。

 

著者は、「ひとは何でもお金で動く」と考えることに対し警鐘を鳴らします。

芸能人が、使ってもいないものを自分のブログ等で紹介したステマ(ステルスマーケティング)の例を挙げ、「お金のためにファンを裏切った!」と安直に考えるのではなく、

いつ仕事を干されるかわからない芸能界で、お世話になっている人から「これ、あなたのブログで紹介してくれない?」と頼まれて断れなかった可能性について著者は述べています。

 

人間が常に合理的な選択をするとは限らず、さまざまな状況下で個人は必ずしも最適な選択をする訳ではありません。その選択が後々どのような結果をもたらすかについて、個人はすべてを考慮することはできず、いろんな思い込みや他者からの誘導があるなかで個人の心の動きは千変万化します。

 

また、著者は、「欲望に正直になること」を勧めています。

 

「どうせできない」「どうせ手に入らない」と考えるクセを持ってしまうと、インセンティブシステムを理解することができなくなってしまい、マーケット感覚が薄れてしまいます。

 

「これが欲しい」と思ったら、その思いを封じ込めるのではなく、逆に強くして、人の心の動きを理解しようとすることが大切になります。

 

そうすることで、世の中の動きについてより深く理解することができ、ひいてはマーケット感覚を鍛えることが可能となると著者は言います。

 

 

次回は、「3.市場に評価される方法を学ぶ」についてご紹介します。

 

https://www.diamond.co.jp/book/9784478064788.html

©マーケット感覚を身につけよう | 書籍 | ダイヤモンド社

 

文章:増何臍阿

 

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